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最近読んだ小説(恩田陸、柴田よしき、島本理生、松岡圭祐) [日本人作家]

朝日のようにさわやかに

朝日のようにさわやかに

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本

最近あまり読んだ小説について書いていなかったのですが、ちゃんと読んでます。
なかなか感想がまとまらず溜まっていくばかりなので(一応このブログは読書記録も兼ねている)、忘れてしまわないうちにごく簡単に感想を。


まずは、恩田陸の短編集『朝日のようにさわやかに』です。
著者の守備範囲の広さをそのままぎゅっと凝縮したような短編集でした。
自作の番外編あり、ミステリーあり、SFあり、ホラーあり、不条理ものあり、児童文学ありと、様々なテイストが楽しめます。

表題作「朝日のようにさわやかに」は虚実入り交じった話。
ビールの瓶から色々なところに連想が飛び、いったいどこに落ち着くのか読んでいる間全く予測がつかなかったです。
「冷凍みかん」は発想が面白いSF。
「卒業」「深夜の食欲」「淋しいお城」はホラー。特に「卒業」は本当に怖かったです。
全体的に怖めの話が多いので、正統派(?)ミステリー「あなたと夜と音楽と」や著者にしてはめずらしい普通のお話「楽園を追われて」、そして最後の「朝日のようにさわやかに」でほっと息をつきました。
最後に個々の作品について著者自身の簡単な解説があります。




回転木馬

回転木馬

  • 作者: 柴田 よしき
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2007/03/13
  • メディア: 単行本

私は未読ですが、連作短編集『観覧車』の続編です。
前作を読んでいなくても問題なく面白く読むことができました。

10年前に突然行方不明になった夫の跡を継ぎ、探偵業を営む下澤唯。
彼女が失踪した夫のわずかな手がかりを掴んでから、彼にたどり着くまでのお話です。

唯が追跡の過程で出会う二人の女性たちの人生が重要でした。
長い間愛人として生きてきた女性。
夫と子どもを未成年の強盗に殺された女性。
一人は手がかりを、一人は真実を引き出して唯に示す。
彼女らの下した決断が唯を夫へと導いていくのです。
とても読みがいがあります。

10年も失踪した夫を待てるか、といえば私にはきっと無理だろうな、と思います。
しかも、やっと消息をつかんだ夫はどうやら別の女性と行動を共にしているらしいとくれば、もういいじゃないかと思ってしまう、きっと。

ただ会いたいだけ、という唯の気持ちは報われるのか?
それが気になって最後まで一気に読んでしまいました。




大きな熊が来る前に、おやすみ。

大きな熊が来る前に、おやすみ。

  • 作者: 島本 理生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本

ナラタージュ』か結構好きだったのと、酒井駒子さんの表紙に惹かれて手に取った島本理生の最新刊。
3本のお話が収められています。
酒井さんの絵が暗示するように、決して明るい話ではありません。
普通の恋愛ものを想像していたのですが、ちょっと違いました。
児童虐待、DV、言葉の暴力、動物虐待・・・
何気なく書かれていますが、結構痛くて、苦しいです。
「平凡だけれどほっとするような恋愛を書きたい、という気持ちが一番にありました」とあとがきで著者は言っているのですが、最初の2作「大きな熊が来る前に、おやすみ。」「クロコダイルの午睡」は私には全然ほっとできませんでした(^_^;)
最後の「猫と君のとなり」はちゃんとした希望が見えたので、やっとほっとできました。
読後感は悪くありません。



千里眼 ミッドタウンタワーの迷宮 (角川文庫)

千里眼 ミッドタウンタワーの迷宮 (角川文庫)

  • 作者: 松岡 圭祐
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫

シリーズ最新刊、角川文庫に移ってから(もう)4作目になります。
著者の筆の早さ、最新のトピックをストーリーに組み入れ展開していく巧みさには、毎回唸らされます。
映画化された第1作からずっと読んでいるのですが、この著者はハードカバーから文庫になる時にかなり加筆をしたりもするので、もう何冊出ているのかわかりません(^_^;)
でも出るとつい読んじゃうんですよね。
文庫になって1冊の厚さも薄くなって持ち運びは楽になりました。
今回のテーマは友情。
美由紀は本当の友情を手に入れることができるのか?
スピード感のある展開は相変わらずで、最後まで一気に読めて読後はすっきり。
エンターテイメントのお手本のような作品です。


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ランランラン太郎

今回はたくさんの本を紹介してくださってありがとうございます。
読んだことがない作家の方を知ることができてとてもためになります。

因みに、ビロードのうさぎ、図書館でかりてきて今読んでます。
by ランランラン太郎 (2007-05-11 13:42) 

shiori

少しでも読む本を選ぶときの参考になれば良いのですが・・・。
「ビロードのうさぎ」読んでくださっているのですね。
嬉しいです(*^_^*)
by shiori (2007-05-12 21:02) 

りゅう

私も本を読みたいと思ってはいるのですが、
ゆっくりできる土日は「バムとケロのにちようび」に
なってしまい、なかなか読めない。
昔はもっと読んでいたんだけど・・・
今は何を読もうかと悩んでしまうので、これからも
どんどん読んだ本を紹介してくださいね。
by りゅう (2007-05-13 22:23) 

shiori

休みの日はかえって本を読む時間をとりにくいですよね。
私も今では小説を読むのは通勤途中が主になってます。
休みでゆっくりできる時間があるときは、お茶を飲みながら絵本や画集をながめる事が多いです。
これからも読んだ本をがんばって紹介していきますので、おつきあいいただければ嬉しいです(*^_^*)
by shiori (2007-05-16 22:07) 

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