SSブログ

『草原の輝き』 野中柊/著 [日本人作家]

草原の輝き

草原の輝き

  • 作者: 野中 柊
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫

野中柊の新刊(初出は1998年)です。
最近たて続けに出版された3冊(他は『このベッドのうえ』『ジャンピング☆ベイビー』)のうちこれを選んだのは、江國香織の解説があったからというちょっと不純な動機。(けれどやはり江國さんの独特な視点からの解説は絶妙)

少女の頃、母親が弟を連れて自殺(父親は浮気別居中)したために心に深い傷を負った主人公の心の救済についてのお話です。

以下、ネタバレしていますので、未読の方はご注意を。


今では小学校教師の優しい夫と結婚して、幸せな毎日を送っている”なつき”。
しかし幸せであればあるほど、その幸せが受け入れがたく、失うのがおそろしい。
ある日、夫の教え子の少女が訪ねてくる。
夫ではなく、なつきに会いに。
少女は問題を抱えていた。時々ふいに心だけ少女が「草原」と呼ぶ、どこか別の場所へ行ってしまうのだ。
心が「草原」に行っている間、少女の体は日々抑圧されてやりたいと思っていることを、かなり大胆に実行しているらしい。
彼女も家庭に恵まれていない子供だった。
けれど少女は言う。
「草原」はつらい現実からの「逃避」ではない、と。
彼女に誘われ、なつきも「草原」へ行ってみようと決心する。
そして、「草原」にいる間になつきがとった行動は・・・。

「草原」という場所で、心を解き放つことによって自由になった体が、自分でも気づかない抑圧された望みや願望を実行していく。
自らが救われるためには、理性という枷を外して思うまま行動してみるのも必要なのかなと感じました。
我慢したり気づかないふりをするのは根本的な解決にはなっていない。待っているだけでなく自分から行動しなくては。
時には、大胆になる事も必要なのですね。


nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 2

ランランラン太郎

知らず知らずのうちに我慢していることってよくありますよね。
自分の心にかぜを通して、思い切ったことをしてみるのもいいのかもしれませんね。
by ランランラン太郎 (2007-04-12 10:20) 

shiori

ランランラン太郎様
そう出来たらいいな、と思います。
しかし結構小心者だったりするので勇気がいりますよね。
by shiori (2007-04-15 20:55) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。