『ぬるい眠り』 江國香織/著 [日本人作家]
江國香織の新刊です。
あちこちの雑誌に掲載されたものをまとめただけあって、題材も長さもばらばらな9編が収められています。
お目当ては『きらきらひかる』のその後の「ケイトウの赤、やなぎの緑」でしたが、他の作品もバラエティに富んで面白かったです。
一番古いものが’89年、新しいものが’03年発表と10年以上の開きのある作品が発表年順に並べられています。
以下、印象に残ったものの感想を簡単に。
■「災難の顚末」
今回もっともインパクトがあったのはこれです。
外へ散歩に出す犬や猫を飼ったことがある人ならば恐らく怖いと思うのではないのでしょうか?
彼らがお外で拾ってくるアレによる災難。
怖い。
追い詰められた主人公の心理状態がまた怖い。
でもこんな目に遭ったら自分もそうなってしまうかも。
思わず、まだほとんど地面を歩いたことのない我が家の愛犬の体を調べてしまいました。
■「清水夫妻」
新聞の死亡欄で知った見知らぬ他人の葬儀に参列するのを趣味にする、風変わりな清水夫妻との交流。
お葬式が題材にもかかわらず、読後は爽やか。
価値観の一致は大切ですね。
私も愉しく生きたいです。
■「ケイトウの赤、やなぎの緑」
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、主人公は、笑子でも睦月でも紺でもない第三者の夫婦です。
江國さんの作品に登場する主要人物たちは、どこか浮世離れした感覚を持っている人が多い。世間の常識から少し離れた場所に彼らは立っていて、私のような凝り固まった頭をしている人間には理解できない考えをしたり、行動をしたりします。
この物語の語り手の一人「ちなみ」は、その中では現実的で常識のある女性です。(それでも一風変わっていますが)
彼女が笑子を「私は彼女が嫌いではない。ただ、理解できないと思う」と評するところがあるのですが、私の江國香織の小説に対する気持ちもまさにこれです。
実際は、半分共感でき、半分理解できないというところなのですが。
その理解できない部分が魅力的で、惹きつけられます。
おもしろそうですね。
短編集は夜寝る前に読むのに最適です。
また図書館に予約してみます!
by ランランラン太郎 (2007-04-10 16:17)
ランランラン太郎様
ぜひ読んでみてくださいね(^^)
確かに短編集は寝る前にぴったり。
私もお布団の中で本を読むのが好きなのですが、最近すぐ眠くなってしまって・・・一編読み終われずに寝てしまったりするのですけどね(-_-;)
by shiori (2007-04-11 01:37)