『ビロードのうさぎ』 マージェリィ・W・ビアンコ/原作 酒井駒子/絵・抄訳 [絵本]
(中の絵が2枚ほど見られるのでこちらを貼っておきます。Amazonはこちら)
ここ2週間ほど仕事がハードだったため、ちょっぴり疲れ気味です。
疲れているならすぐ帰れば良いのに、そういう時ほどどういうわけか寄り道をしてしまいます。
寄り道した本屋で、見つけてしまいました。
絵本売り場で平積みされていた目立つ黄色い縁取りの絵本。
中央に水色のリボンをしたうさぎのぬいぐるみ。
ひと目でわかる愛らしさの中にも影を秘めた大好きな酒井駒子さんの絵。
そして
『ビロードのうさぎ』 マージェリィ・W・ビアンコ
思い入れのあるお話です。
レジへ直行しちゃいました(*^_^*)
作者のマージェリィ・W・ビアンコは、1881年の生まれ。
100年ほど前に作られたお話です。
日本では、私の知る限りでも岩波書店、BL出版、文研出版などから別の訳・絵で出版されています。
子どもに大事にされ本当の友達になったおもちゃだけが「ほんもの」になれる。主人公のぬいぐるみのうさぎは、果たして「ほんもの」になれるのだろうか?という物語です。
このブロンズ新社版は、いま日本で子どもとうさぎを描かせたら随一ではないかと常々(私が勝手に)思っている酒井駒子さんの素敵な絵が堪能できます。
私がはじめてこのお話を知ったのは、『ビロードうさぎのなみだ』谷口由美子/訳・吉永純子/絵(文研出版)でした。
今回のブロンズ新社の絵本は抄訳ですが、文研出版の方はもっと文章が長かったように記憶しているので全訳だったのでしょう。
少し精神的に疲れていて、心が温まるような話はないかな、と図書館の児童書コーナーをさまよっていた時に、パステルか色鉛筆で描いたような柔らかなタッチのうさぎの絵が目に留まって何気なく読み始めました。
そのまま棚の前で最後まで読み切ってしまったのですが、途中不覚にもぐっとこみ上げるものを堪えることとなりました。
多分疲れていたからだと思います。
ストーリーは複雑ではなくむしろ単純です。
しかし、まるで自分が子どもに戻ってしまったかのように、感情移入してしまった忘れられないお話です。
以下ストーリーと結末について触れていますので、このお話を読んだことのない方、これから読もうとしている方はお気をつけ下さいね。
部屋の隅で忘れ去られていたビロードのぬいぐるみのうさぎ。
ある時、馬のおもちゃから、長い間に子どもの本当の友達になったおもちゃは「ほんもの」になれるという話を聞かされます。
全くの偶然から、ビロードのうさぎは持ち主のぼうやの最愛のおもちゃになります。
ぼうやに大切に愛されてビロードのうさぎは幸せでした。
ぼうやの「ほんもの」になったのです。
しかし、生きた本物のうさぎに出会った時に、ビロードのうさぎは動揺します。
自分は「ほんもののうさぎ」だと思っていたのに、彼らとは全く似て非なるものだったのです。
ある日、ぼうやは重い病気にかかります。
そして、それはビロードのうさぎの運命が変わる時でもありました。
ビロードのうさぎの無垢な心に胸を打たれます。
結末は多分ハッピーエンドなのでしょう。
けれど、普通のおとぎ話のように「幸せになってああ良かった」というだけではなく、切なさや寂しさが混じったような複雑な余韻が残ります。
(上手く言えないのですけれど・・・)
それがまた、酒井さんの愛らしさの中にも影を秘めた絵に似合っていると思うのです。
(文研出版の淡く優しい絵柄もお話に合っていました。もし興味を持たれた方がありましたら、ぜひ全訳も読んでみてくださいね)
shioriさんへ
いつかこの絵本読んでみたいと思います。
私も仕事がハードになりつつあります。
時々、リセットして自分をいたわってあげて、
毎日を過ごして生きましょうね。
by りゅう (2007-04-26 22:37)
自分自身を落ち着かせることができる本にめぐり合えるのは幸せですね。
できれば探して読んでみたいと思いました。
by ランランラン太郎 (2007-04-28 20:20)
りゅう様
そうですね。
私の場合リセットしっぱなしのような気もしますが。
こうやって励ましていただけるのもブログの良いところですね。
リセットしながら、お互いにお仕事がんばりましょう(^^)
by shiori (2007-04-29 22:09)
ランランラン太郎様
ほんとうに幸せだと思います(^^)
たぶん図書館ならどちらの本も所蔵しているのではないかと思います。
何かのついでがあれば覗いてみてくださいね。
by shiori (2007-04-29 22:16)
おはなし村*ゆめ様
ご訪問&nice!をありがとうございました。
by shiori (2007-04-30 21:57)
shioriさんへ
コメントかきにきちゃいました。
この記事には、いっぱい共感するところがあり、書くと長くなりそうでコメントせずに帰ったのですが、やっぱり、何回読んでも
いい記事です。こないだ、酒井駒子さんのサインをいただく機会が
あり、あの絵は、こんなに華奢な手から生まれているのか〜と
思いました。駒子さんの絵が絵本の内容をひきたてていること、
多分にありますよね。絶対欲しい絵本の1冊です。
ところで、お疲れのようですね。何でも体が資本!
がんばることは必要だけど、疲れすぎないことも大切。
無理せず、気持よい毎日が訪れますように(^^)
おはなし村から応援しています。
by おはなし村ゆめ (2007-05-02 00:02)
おはなし村*ゆめ様
ありがとうございます。
無理しないように気をつけます(*^_^*)
酒井駒子さんにお会いになったのですね、羨ましいです。
あの独特の雰囲気の絵がたまらなく好きなのですよ〜。
by shiori (2007-05-02 22:03)